空に刻んだパラレログラム
メリークリスマスでございます。
残念ながら、クリスマスに投稿できてしまう程度には暇予定の無いクリスマスを過ごしていました。
みなさまはいかがお過ごしでしょうか。
そろそろ年末の祭典、コミックマーケットが迫っていますのでその準備に追われているやもしれませんね・・・。
残り少ない2018年を何とか締められるように楽しむ所存です。
ゲームデータ
タイトル:空に刻んだパラレログラム
発売元:ウグイスカグラ
発売日:2018.12.21
ヒロイン:4
END:5
CG:96
MUSIC:22
SCENE:12
属性:学園モノ・部活・スポ根・青春
インストール容量:3.15GB
備考:修正パッチV1.1
ストーリー
彼杵(そのぎ)柚は、空を飛びたいと願った。
テレプシコーラ、と呼ばれるスカイスポーツがある。
一部の人にのみ存在するクオリアと呼ばれる能力を使って行う競技である。
該当するクオリアを持つ者は、文字通り"空を飛びながら"挑む。
柚は、その願いを叶える為に転校を希望し、テレプシコーラの名門校である葛切学園にやってくる。
やってきた柚を待っていたのは、名門校の洗礼であった。
不幸な勘違いから洗礼を浴びせてしまったことに見かねた第1テレプシコーラ部の副部長から、ある人物を紹介される。
紹介された先に居たのは、1人の青年。
かつて空を駆け、その翼をもがれた青年―――宝生歩であった。
これはかつて翼を失った宝生歩が、4人の少女たちに翼を与え、空へと連れて行く物語である。
(左から有佐里亜、彼杵柚、宝生玻璃、藍住ほたる)

感想
ウグイスカグラの作品です。
空で戦うスポーツ物、といえば昨今では蒼の彼方のフォーリズムで描かれていたフライングサーカス等も挙げられますが、いずれの作品でもやはり爽快感というのが感じられるテーマです。
パラレログラム、というのは日本語で平行四辺形のことを示しています。
公式のタイトルテーマ背景にも平行四辺形の断片が描かれています(平行四辺形の中でも長方形に近い?)。
まぁ単純に考えれば、テレプシコーラ競技中に発生する軌跡をイメージしているのだと思われますが、四辺形であるのは恐らくヒロインが4人いるからであろう、と勝手に想像しています。
ストーリーについて。
ストーリー自体はそこまで長くなかった(というより継続プレイにストレスを感じなかった)感覚です。
冒頭のストーリー紹介でもありましたが、主人公たちがテレプシコーラの大会に出るためにメンバーを集め、練習して、大会に挑んでいくという一本筋のストーリーになっています。
その為、学園モノというほど広範な内容にはなっておらず部活特化型のストーリーでした。
本作の特徴はまさしく正道を往く部活ストーリーでしょうか。
主人公たちのほうが新参ということもあって、全般的にジャイアントキリングを繰り返しながら大会を勝ち抜いていくため、非常に進行が重たいつくりになっています。何これ病みそう。
一般的な学園モノのほのぼの:シリアス=8:2程度の比率だとすれば、本作は3:7程度です。ほぼほぼシリアスです。
主人公の過去の出来事がその半分を占めていますが、過去の因果が無い柚を除けば全員の闇が主人公原因であることからもなかなかもどかしい気持ちにさせてくれます。
ストーリーのすすめ方は丁寧で、1戦1戦の相手について必ず紹介が入り、特に主人公たちの大きな壁となる(ある意味キーパーソンとなる)境遼二などは度々回想が登場します。
ほぼ全ての試合について描写されているため、劇中の時間は然程経過しないものの密度があります。
本作の分岐は唯一つ。
大会の本選に出場できるかどうかという問いかけをされる部分のみです。
本選出場を強く願えばそのままTRUEEND(あるいはNORMALENDともいえる)に突入し、そうでなければ個別ヒロイン分岐に入ります。嫌らしいつくりですね(笑)
あれだけ主人公たちが切望してきた、本選大会を諦めればヒロインとの路が開けるという仕組みです。
(下記ネタバレ)
恐らくこれは、テレプシコーラの本選大会に出場することを亡き彼女:紅と誓った主人公の歩が、これを諦めることで過去を断ち切るという暗示ではないかと思われます。
(以上ネタバレ)
キャラクターについて。
本作は非常に魅力的なヒロイン達に囲まれている上に、周囲を取り巻く登場人物も同様に魅力的であったといわざるを得ません。
私は里亜、ほたる、玻璃、柚の順番に攻略したわけですが、個人的には柚を除く全員が良かったと考えています。
良かった、というのはヒロインとしてであって、私のなかでは柚は"もうひとりの主人公"であったと思います。
里亜は自らのどうしようもない能力の不遇にあがく正統派ヒロイン。
玻璃は傑出した能力を持ってしまったものの、闇を積み増しながら走り続ける病みヒロイン。
ほたるは傑出した能力を持ちながら、過去の因縁から裏方へと回ってしまったヒロイン。
それぞれの特徴があり、劇中にも柚を含めた4人でぶつかり合う事も多かったヒロイン達です。
こうもまあ次々と課題が発生するものだと正直感嘆しました。
ヒロイン以外でやはり特徴的なのは境遼二でしょうか。
絶対的な王者として君臨する遼二に色々な部分で苦しめられる主人公たち。
しかしただの暴君ではなく、意外と思慮深く、繊細なところもある人物です。
紡木紅とのやりとりも含め、やはり境遼二は宝生歩が至っていた可能性の一つともいえるのではないかと思います。
そういう意味では、ヒロイン達のあれそれも歩と遼二の因縁に比べれば上滑りしているような気がするから不思議ですが、それだけ遼二は魅力的な人物であったことの証左ともいえるでしょう。
総評
秀作です。
まさにスポ根です。
主人公の周囲にヒロインがあれだけ居ながら、かくも泥臭いストーリーがあるのかと思わされた点では、エロゲとして・・・だけの評価は難しいところではありますが。
丁寧なストーリーで感情移入を容易にし、魅力的な人物をこうも描きあげ熱いストーリーを綴りきった点で、本作は本年度の中でも秀作であると言えると思います。
紹介
残念ながら、クリスマスに投稿できてしまう程度には
みなさまはいかがお過ごしでしょうか。
そろそろ年末の祭典、コミックマーケットが迫っていますのでその準備に追われているやもしれませんね・・・。
残り少ない2018年を何とか締められるように楽しむ所存です。
ゲームデータ
タイトル:空に刻んだパラレログラム
発売元:ウグイスカグラ
発売日:2018.12.21
ヒロイン:4
END:5
CG:96
MUSIC:22
SCENE:12
属性:学園モノ・部活・スポ根・青春
インストール容量:3.15GB
備考:修正パッチV1.1
ストーリー
彼杵(そのぎ)柚は、空を飛びたいと願った。
テレプシコーラ、と呼ばれるスカイスポーツがある。
一部の人にのみ存在するクオリアと呼ばれる能力を使って行う競技である。
該当するクオリアを持つ者は、文字通り"空を飛びながら"挑む。
柚は、その願いを叶える為に転校を希望し、テレプシコーラの名門校である葛切学園にやってくる。
やってきた柚を待っていたのは、名門校の洗礼であった。
不幸な勘違いから洗礼を浴びせてしまったことに見かねた第1テレプシコーラ部の副部長から、ある人物を紹介される。
紹介された先に居たのは、1人の青年。
かつて空を駆け、その翼をもがれた青年―――宝生歩であった。
これはかつて翼を失った宝生歩が、4人の少女たちに翼を与え、空へと連れて行く物語である。
(左から有佐里亜、彼杵柚、宝生玻璃、藍住ほたる)

感想
ウグイスカグラの作品です。
空で戦うスポーツ物、といえば昨今では蒼の彼方のフォーリズムで描かれていたフライングサーカス等も挙げられますが、いずれの作品でもやはり爽快感というのが感じられるテーマです。
パラレログラム、というのは日本語で平行四辺形のことを示しています。
公式のタイトルテーマ背景にも平行四辺形の断片が描かれています(平行四辺形の中でも長方形に近い?)。
まぁ単純に考えれば、テレプシコーラ競技中に発生する軌跡をイメージしているのだと思われますが、四辺形であるのは恐らくヒロインが4人いるからであろう、と勝手に想像しています。
ストーリーについて。
ストーリー自体はそこまで長くなかった(というより継続プレイにストレスを感じなかった)感覚です。
冒頭のストーリー紹介でもありましたが、主人公たちがテレプシコーラの大会に出るためにメンバーを集め、練習して、大会に挑んでいくという一本筋のストーリーになっています。
その為、学園モノというほど広範な内容にはなっておらず部活特化型のストーリーでした。
本作の特徴はまさしく正道を往く部活ストーリーでしょうか。
主人公たちのほうが新参ということもあって、全般的にジャイアントキリングを繰り返しながら大会を勝ち抜いていくため、非常に進行が重たいつくりになっています。何これ病みそう。
一般的な学園モノのほのぼの:シリアス=8:2程度の比率だとすれば、本作は3:7程度です。ほぼほぼシリアスです。
主人公の過去の出来事がその半分を占めていますが、過去の因果が無い柚を除けば全員の闇が主人公原因であることからもなかなかもどかしい気持ちにさせてくれます。
ストーリーのすすめ方は丁寧で、1戦1戦の相手について必ず紹介が入り、特に主人公たちの大きな壁となる(ある意味キーパーソンとなる)境遼二などは度々回想が登場します。
ほぼ全ての試合について描写されているため、劇中の時間は然程経過しないものの密度があります。
本作の分岐は唯一つ。
大会の本選に出場できるかどうかという問いかけをされる部分のみです。
本選出場を強く願えばそのままTRUEEND(あるいはNORMALENDともいえる)に突入し、そうでなければ個別ヒロイン分岐に入ります。嫌らしいつくりですね(笑)
あれだけ主人公たちが切望してきた、本選大会を諦めればヒロインとの路が開けるという仕組みです。
(下記ネタバレ)
恐らくこれは、テレプシコーラの本選大会に出場することを亡き彼女:紅と誓った主人公の歩が、これを諦めることで過去を断ち切るという暗示ではないかと思われます。
(以上ネタバレ)
キャラクターについて。
本作は非常に魅力的なヒロイン達に囲まれている上に、周囲を取り巻く登場人物も同様に魅力的であったといわざるを得ません。
私は里亜、ほたる、玻璃、柚の順番に攻略したわけですが、個人的には柚を除く全員が良かったと考えています。
良かった、というのはヒロインとしてであって、私のなかでは柚は"もうひとりの主人公"であったと思います。
里亜は自らのどうしようもない能力の不遇にあがく正統派ヒロイン。
玻璃は傑出した能力を持ってしまったものの、闇を積み増しながら走り続ける病みヒロイン。
ほたるは傑出した能力を持ちながら、過去の因縁から裏方へと回ってしまったヒロイン。
それぞれの特徴があり、劇中にも柚を含めた4人でぶつかり合う事も多かったヒロイン達です。
こうもまあ次々と課題が発生するものだと正直感嘆しました。
ヒロイン以外でやはり特徴的なのは境遼二でしょうか。
絶対的な王者として君臨する遼二に色々な部分で苦しめられる主人公たち。
しかしただの暴君ではなく、意外と思慮深く、繊細なところもある人物です。
紡木紅とのやりとりも含め、やはり境遼二は宝生歩が至っていた可能性の一つともいえるのではないかと思います。
そういう意味では、ヒロイン達のあれそれも歩と遼二の因縁に比べれば上滑りしているような気がするから不思議ですが、それだけ遼二は魅力的な人物であったことの証左ともいえるでしょう。
総評
秀作です。
まさにスポ根です。
主人公の周囲にヒロインがあれだけ居ながら、かくも泥臭いストーリーがあるのかと思わされた点では、エロゲとして・・・だけの評価は難しいところではありますが。
丁寧なストーリーで感情移入を容易にし、魅力的な人物をこうも描きあげ熱いストーリーを綴りきった点で、本作は本年度の中でも秀作であると言えると思います。
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